インタビュー
2018.02.05

熊川宿は「難しいこと」が魅力です。

熊川宿に関わる人の視点を通じて、熊川宿の魅力を伝える連続インタビュー。今回は、菱屋の改修工事をはじめ、熊川宿で数多く古民家の改修工事をされている辻建築の辻一憲さんにお話を伺いました。

 

 

---どのような経緯で熊川宿の仕事をするようになったのですか?

もともとは一般住宅をメインに施工していましたが、新築よりも改修の案件が増え、その流れで熊川宿でも仕事をするようになりました。

これからの事も考えて(技術の継承など)、若い人がいる地元の会社と組んで仕事をしています。熊川宿のような古い建物の場合、考えた分だけ新しいアイディアが生まれる事も多いので、考える事を楽しむような仕事の仕方を意識しています。

 

---新築と改修の違いはありますか?

改修は決まった答えがなかったり、想像してもいなかった事も起きるので、都度悩んでいますが、その難しさがおもしろいです。まわりの人には、難しい壁にぶち当たって考えている時ほど、楽しそうな顔をしているとも言われます。笑

 

---例えば、どんな難しさがあるのですか?

「残しながら、修復していくこと」です。全部取り払って、新しくする事は簡単ですが、熊川宿では柱一本でも交換せず、柱根(※)を残して継いでいきます。新築の仕事では使わない複雑な施工になるので、知識だけではなく、技術と経験、知恵がものを言います。だからこそ、建物が完成した時の感動はひとしおです。やってきてよかったなぁと思います。

また、熊川宿の場合は、継ぎ方ひとつとっても、全ての建物で型が決まっています。熊川の気候風土にあった建て方を考えた、昔の人の知恵には感心しますね。

 

---熊川宿でこれから挑戦したいことはありますか?

山ほどあります。古いまち並みの魅力を残す動きも必要だと思いますし、ぼくは新しい技術にも興味があります。これからは、新しいものと古いものが融合するような、今まで残してきた価値を継承したよりよいものを、仲間と一緒に作っていきたいですね。

 

※ 柱根…建物の柱の根の部分。(広辞苑より)

 

 

辻 一憲

辻建築 〜和の美しさを活かした木造建築一式〜

〒919-1526
福井県 三方上中郡 若狭町 関 44-8-1

TEL:0770-62-1196

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